デュッセルドルフの針金師たち後編

海外青年協力隊

最後の週、皆ともお別れだ。我々も4週間目に
入った。もう二度と来る事はないだろう。

ユングフラウまる1日のツアーに、
最終すべり止めと決定した。
メンバーは例の4人だ。朝早く出てケーブル、

ロープウェイ、リフトと乗り継いで延々3時間。雪曇
るスタート地点に着いた。とてつもなく広い山一面が
スロープ。滑っているのは我々だけという心細さだ。

またもシュテムボーゲンで休み休みおりる。かなり
ガスってきた。こぶが見分けにくい。上のほうから
時折スキーヤーが降りてくる。その一人が女の子で

「こんんいちわーっ」といって通り過ぎていった。
何で我々が日本人て分かったんだろう?

山男の姿が突然消えた。こぶ裏の新雪の吹き溜まり
にはまったのだ。その後何度も皆この吹き溜まりに
はまった。何時間かかけてやっと中継地点に着く。

これから林間コースという所でマメタンがどうしても
足が痛いとリタイアした。皆と別れて一人ケーブルで
降りるマメタン。すばらしい林間コースだったが、

オサムは何で一緒に行ってやらなかったのだろうと
悔やんだ。イタリア人だったら『信じられない?
お前は男じゃない!』と言うだろうな。

次の日ユースに近くの海外青年協力隊のメンバーが
来ていて、一度是非とのことでマメタンと二人で
夜に訪問させてもらった。酪農実習生5名、2人が

女性だ。久しぶりの日本食。東北なまりがきつくて
さっぱり分からなかった。ここは外国か?
とてもうまいしゃぶしゃぶであった。

帰りの満天の星空は本当に今にも手が届きそう。
流れ星も一杯見られてたくさんの願いを掛けられた。
マメタンは一体何を願ったのだろう?

アイガーの北壁よさようなら!スキー特訓で
あちこちあざだらけ体くたくたのスイスであった。
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