怪談短編集


 業者が来たのは、昼間だった。


「あれでは、駄目でしたか。では、今度は、これを使ってください」


 渡されたのは、四角い板にバネらしき物をつけた物。


「これ、何ですか?」

「これはね、ネズミ捕りだよ。ここにチーズを乗せて、床に置くだろう?ネズミがチーズにつられて、このバネを踏むと…」おじさんが、ボールペンをネズミに見立てて説明してくれる。「こうなるわけだ」

 反対側のバネが、起き上がり、ボールペンがバネに挟まれる。

 トムとジェリーでお馴染みの、アレか。

 業者は、それをいくつか置いて、また出て行った。

 このネズミ捕り。バネを戻せが何度でも使えるから、便利。

「クールの出番も、あんまりないかもね」

 


< 135 / 195 >

この作品をシェア

pagetop