怪談短編集

 結局、遅刻はしたけどあいつらはいなかった。あいつら、っていうのは川嶋、島田、田村の三人組。

 すごく凶暴で、何かと僕に絡んでくる。

 あいつらがいないなんて最高だ。僕は小躍りしたくなった。もちろん、しなかったけど。



 終わったのは八時だった。帰りの電車にはサラリーマンやOLのおばさんたちがたくさんいて、中には大学生や高校生もいた。

「そーなの、マヂで最悪」
「わかるー。あいつら、ホントにうざいよねー」
「死ねって感じ?」

 女子高生たちが、大声で喋ってる。

 その様子を、不審げに見つめるサラリーマンが、僕に席を譲ってくれた。彼はしばらく女子高生と話をして、それから電車を降りて行った。

 車内に残った彼女たちは怒られた後の顔とは違う、不思議な顔で立っていた。
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