未来に種
「ノノ〜!何見てんの?」
「あ、りっちゃん。空見てた〜」
「何かある?」
「あの雲、見て〜」
「どれよ…」
「干し椎茸みたいなかたち…」
「はあ?」
「…今日は干し椎茸で出汁をとった高野豆腐が食べたいなあ……」
「唐突すぎるわ!」
椎茸みたいだな、あの雲…
おいしそう…
「りつーっ!次たいく!早く!」
「分かってる!すぐ行くから!…で、ノノ。アンタまた体育出ないわけ?」
「ん〜。ここにいる〜」
「もう。そんなんで単位足りんの?」
「さあねえ〜」
キンコンカンコン、チャイムが鳴る。
「うげっ、やば。じゃああたし行くから!」
「うん〜」
ひらひらとりっちゃんに手を振れば、走りながら振り返してくれた。