風味絶佳~嘘からはじまる2人の関係~
結局彼女も楽ではない、棘の道を進もうとしている。

もっと楽な道もあるだろうに。

俺は妹の頭を子供をあやす様に撫でた。

「お前が決心したなら、俺はどんな選択でも全力で応援する。
だから、絶対に逃げるな。」

「・・・うん、ありがとう。」

妹には祖父にも認められた上で、自分の好きな人生を生きて欲しい。

そのためには、いつまでも逃げてばかりではいけないのだ。


「ちょっとお2人さん、そのまま2人の世界に入ってるなら薫さん、俺が独り占めしちゃうよ。」

弟が程よいタイミングで話に割って入った。

いつの間にか、薫の隣に移動している。

あいつ、本当に行動早いな。

「いえ、いつもは見られない陽斗さんの姿が見られて得した気分です。
ご兄弟仲が良いんですね。」

薫も満更でもなく、4人の会話を楽しんでいる。

「え~、2人共お父さんみたいだよ。
特に陽兄は。
あれもダメ、これもダメって。」

おいおい、それは聞き捨てならないな。

「ちょっと待てよ、俺を陽兄と一緒にするなよ。
星莉奈、俺に失礼だぞ。」

月冴、お前まで・・・。

俺は呆れて返す言葉もない。

そんな俺を見て、薫が笑う。


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