LOTUS~あなたに出会えたから~
彼の顔が優しくゆるんで八重歯が見えた。

「こんばんは。」

彼は軽く頭を下げた。

話す声は、意外にも柔らかくて甘かった。
私は黙って会釈をした。

彼に見とれてしまった事を、大介に悟られない様に。


その夜は、大介の部屋に泊まった。
大介は私にベッドを譲り、自分はソファで眠った。
すぐに寝息を立てた大介に、なんだかホッとしてしまう自分が居た。

大介のベッドで目を閉じ私は、眠りに落ちるまで繰り返し蓮の事を想い続けた。

それが、私と彼の出会いだった。

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