LOTUS~あなたに出会えたから~
6章
ほんの数時間だけ睡眠を取った私は仕事場の工房で、蓮の顔型と向かい合っていた。

石膏でできた、リアルな蓮の顔に油粘土で彫刻を開始する。
できる限り気持ち悪くリアルに、骨の盛り上がりや立体的な傷跡を作っていく。

他のメンバーの分も次々と無心で作り上げ、水を貼った大きな容器に沈めていった。
ここまでで既に夕方になっていた。

「すごい集中力だな。撮影に遅れない様に気をつけろよ。」

疲れ果てた私に、笑いながら松岡さんが声をかけてきた。
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