魔王に甘いくちづけを【完】
「宛てもなく、ふらふらと彷徨っていた人間のお前を連れて来たのは、この俺たちだ。感謝するんだな。あのままの状態だったら、お前、今頃命は無いぜ?ここに来ている連中は身分の良い奴らばかりだ。どんなところに行くにせよ、今よりはましな暮らしが出来るぜ」
男が耳元で囁くように語りかけてくる。
首のベルトと鎖をつけなおされて、係りの男に鎖の先端が渡されたあと、手の拘束が解かれた。
そこは舞台のそでで、垂れ下がった布の間から会場の中が少しだけ見えた。
テーブルと椅子が並べられているようで、身なりの良い男女が座っているように見える。
客は皆仮面をつけていて同じ様な格好をしてるため、どんな人達がいるのか全く分からない。
舞台の上では先に出ていた絵画の値がつけ終わり、舞台の向こうに消えていくところだった。
―――ここより、ましな生活・・・。
娘はぼんやりとした記憶を辿った。
会場に来るまでに居たあの場所。
鎖に繋がれて窓もなくて空も見えない、息の詰まりそうな監禁生活。
怖いけれど、確かにあの生活よりはましになるかもしれない。
けど、こんな風に売られるんだもの、自由に過ごさせてもらえるなんて、そんなことはとても思えない。
きっと、奴隷のような扱いを受けるんだわ・・・。
「皆さん!お待たせいたしました。今宵の目玉商品、この後いよいよ登場で御座います!!」
司会が手を上にあげて高らかに言い終わると、会場の空気が一変し、客たちがざわざわとし始めた。
皆この時を待っていたようで、腕まくりをして座り直す紳士や、鞄の中を開いて手帳のようなものを見て相談し合うカップル、腕を組んで舞台のそでを凝視する紳士、それぞれが娘の登場に期待を膨らませているようだった。
そんな客たちの雰囲気が伝わってきて、立ちすくんだまま動けないでいると「ほら、行け!」の言葉とともに、背中をドンッと押された。
その拍子によろけるように舞台の上に出てしまった。
途端に客席から感嘆混じりのどよめきが起こった。
「まぁ、何て美しい・・・」
「ほぅ・・・これは―――」
皆娘の美しい容姿に心を奪われているようだった。
娘が会場の中を見渡すと、オレンジ色の薄暗い灯りの元に丸いテーブルが数十個置かれ、一つのテーブルに一人から三人の男女が品よく座っていた。
皆こっちに注目している。
鎖を持った係りの男に腕を引っ張られて舞台の中央に連れていかれ、正面を向かされた。
「さぁ、皆さん!今宵の目玉商品、人間の娘で御座います!どうでしょう!?皆さん、この美しい肌―――」
「100!」「300!!」「350!」
司会の言葉が言い終わらないうちに、合図の金槌の音が鳴り響く前に、待ちきれなくなった客の声が上がり始めた。
男が耳元で囁くように語りかけてくる。
首のベルトと鎖をつけなおされて、係りの男に鎖の先端が渡されたあと、手の拘束が解かれた。
そこは舞台のそでで、垂れ下がった布の間から会場の中が少しだけ見えた。
テーブルと椅子が並べられているようで、身なりの良い男女が座っているように見える。
客は皆仮面をつけていて同じ様な格好をしてるため、どんな人達がいるのか全く分からない。
舞台の上では先に出ていた絵画の値がつけ終わり、舞台の向こうに消えていくところだった。
―――ここより、ましな生活・・・。
娘はぼんやりとした記憶を辿った。
会場に来るまでに居たあの場所。
鎖に繋がれて窓もなくて空も見えない、息の詰まりそうな監禁生活。
怖いけれど、確かにあの生活よりはましになるかもしれない。
けど、こんな風に売られるんだもの、自由に過ごさせてもらえるなんて、そんなことはとても思えない。
きっと、奴隷のような扱いを受けるんだわ・・・。
「皆さん!お待たせいたしました。今宵の目玉商品、この後いよいよ登場で御座います!!」
司会が手を上にあげて高らかに言い終わると、会場の空気が一変し、客たちがざわざわとし始めた。
皆この時を待っていたようで、腕まくりをして座り直す紳士や、鞄の中を開いて手帳のようなものを見て相談し合うカップル、腕を組んで舞台のそでを凝視する紳士、それぞれが娘の登場に期待を膨らませているようだった。
そんな客たちの雰囲気が伝わってきて、立ちすくんだまま動けないでいると「ほら、行け!」の言葉とともに、背中をドンッと押された。
その拍子によろけるように舞台の上に出てしまった。
途端に客席から感嘆混じりのどよめきが起こった。
「まぁ、何て美しい・・・」
「ほぅ・・・これは―――」
皆娘の美しい容姿に心を奪われているようだった。
娘が会場の中を見渡すと、オレンジ色の薄暗い灯りの元に丸いテーブルが数十個置かれ、一つのテーブルに一人から三人の男女が品よく座っていた。
皆こっちに注目している。
鎖を持った係りの男に腕を引っ張られて舞台の中央に連れていかれ、正面を向かされた。
「さぁ、皆さん!今宵の目玉商品、人間の娘で御座います!どうでしょう!?皆さん、この美しい肌―――」
「100!」「300!!」「350!」
司会の言葉が言い終わらないうちに、合図の金槌の音が鳴り響く前に、待ちきれなくなった客の声が上がり始めた。