君色Diary
「誰だって、好きな人の前では臆病になるよ。だから、逃げてもいいの」


「でも、それじゃ……」


「何度も逃げて逃げて……でも、自分の気持ちさえちゃんと言えるなら、それでいいじゃない」


「…………」


「ちゃんと、一番伝えたい気持ちさえ言えるなら……何度逃げたっていいの」




葉月はそう言うと、あたしの心を見透かすように、ジッと見つめてくる。

それにあたしは、心が揺さぶられて。



逃げていいの……?

一番伝えたい気持ちさえ言えるなら……。



ドクンドクン、と胸が鳴る。



あたし……。

あたしの、一番伝えたい気持ちは……。



< 259 / 373 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop