君色Diary
体育館で茉莉花ちゃんを見た瞬間、“なんでいるの?”とか、“空くんは?”なんて考える前に、動いていた体。

ふと目が合えば、それまでおどおどと緊張気味にしていた茉莉花ちゃんは、パッと笑顔に変わって。

その笑顔に罪悪感を感じながら近づけば、困惑していた葉月に「もう大丈夫」と言って、茉莉花ちゃんを連れて来たはいいものの。

あたしの勝手な思い込みと、ここ数日間抱えていた思いなど知らない茉莉花ちゃんは、ただ、のほほんと笑っていて。



ホントどうしよう……。

話の切り出し方が分からない……。

失礼のないように、なおかつ、要点は押さえた質問……。

……わからない…!!



茉莉花ちゃんが一言話して、それに返事すれば、また続く沈黙。

それにそろそろ限界も近づいてくれば、あたしの頭はさらに焦って、混乱して。


あたしから連れてきたのに、茉莉花ちゃんに話させてばっかりだよ……。

沈黙は苦手だし、外は暑いし、どうしよう……?

もうこの時点で、十分あたし、失礼なんじゃ……。



「うーん…」と思わず押さえる頭。

すると突然、にゅっと茉莉花ちゃんの顔が視界を埋め尽くした。



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