君色Diary
「えっと、次はこの髪をピンで留めて……」



ぶつぶつと呟きながら、失敗しないように、鏡とにらめっこをして髪を留めていく。

すると、壁にかけていた淡いピンクの花柄の浴衣が鏡に映って。

あたしは思わず、手を止めて振り返った。



……今日、気持ち……伝えるんだ……。



カレンダーを見ると、大きく丸印がつけられた、今日の日付。

そこには、赤いペンで“花火大会”と書かれていて。


皆で行くと、約束した花火大会。

壁にかかっている浴衣は、葉月と買いに行ったもの。

今日告白することを葉月に言えば、「じゃあ、オシャレしなきゃね!」と、葉月が嬉しそうに選んでくれた。



……後悔しないように、しなくちゃ……。

ちゃんと、伝える……。

大丈夫、皆応援してくれたんだもん……!!



不安がないわけじゃない。

実際、この間告白を止められたときの不安が残ってる。

困ったように笑ってた空くん。

それがどういう意味か、考える余裕はあたしにはなくて。


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