転校生は憧れの人
「失礼~!」
「ちょ、梓ちゃん」
女の子の壁を割って入る梓ちゃんに冷や冷やとしながらも、私はしっかりとその後を追う。
グイッと体をねじ込ませた、その先には――。
「憐くん……」
心臓が、ドクンと大きく音を立てる。
私の目には、あの時よりも大人っぽくなった彼の姿が鮮明に映った。
「なずな」
「うん」
梓ちゃんに促されて、私は小さく深呼吸をする。
一ノ瀬なずな、人生最大級の勇気を振り絞って……いざ、いきます!