君の細くて長い指。
君の細くて長い指。
君の指を眺めるのが好きだ。

君の指は別格だ。

君の指は細くて長い。関節は男らしく、骨太のようにも思える。

縦長に伸びた爪も、指の魅力を最大限に引き出している。

箸を持つ指、ギターを掻き鳴らす指、そしてアタシに触れる指…どの場面でもアタシを虜にする。


「今日は良さそうなメロディが浮かばないや…」


君は小一時間、ギターを奏でていただろうか。

アタシは、その横で君を眺めていた…と言うより、君の指を眺めていた。


「ご飯食べに行こっか?」


何時の間にか、時刻は夜7時を過ぎていた。


「まだ、お腹空いてない…お昼遅かったから」

「そっか。じゃあ、お腹空かせよっか?」


歌手を目指す君とは、最近スレ違いばかり。

生活を保つ為にバイトの掛け持ちをしている。

君の指がアタシの頬に触れる。

待ちわびていたかのように体は熱く反応して、君の背中に腕を回す。

指がアタシを魅力して虜にする。

君の指から発する曲が好き。

アタシを甘い世界へと誘導してくれるから好き。

…でも、一番は君の長くて細い指を眺めるのが好き。

こんなにも綺麗な指は君ぐらいかな?

アタシは綺麗な指でギターを掻き鳴らす姿をテレビで、ライブで見たい。

君が有名になり、そう遠くない未来に君と離れる日が来ても、今はソノ指でアタシを愛して。


「好き…だよ」


―――やっぱり…眺めてるだけなんて嫌。

君の指はアタシを魅力する為にある…音楽もアタシ自身も。


*END*

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