胸キュン


「確かに傷ついた。でも俺は知花が俺に“ありがとう”って言ってくれた事が今、すげぇ嬉しいから傷ついた事なんか忘れた」


「!」



忘れた…?傷ついた事を忘れたの…?



そんなはずない!!!!



傷ついた事はずっと忘れない。



体が傷つくよりも心が傷つくほうが痛いんだから



「そんな優しい嘘…いらない…!!!!」



「…嘘じゃない。“ありがとう”を知花に言ってもらったんだから。俺にとっては一歩前進!」



優しく笑う湊…。



そんな優しい顔をしないで…?



私…甘えちゃうよ…。



「俺は知花の言葉や行動に一喜一憂するんだ。だからさ辛い事も哀しい事も絶対あるよ。でもさ、その分嬉しい事があると思うんだ。」


「私の行動や言葉?」


「そっ。だから傷ついた事なんてどーでもいいんだ。俺を傷つけたって涙を流す知花を見れたほうが俺は嬉しいから。」


「!!!!////////」


「ありがとな!俺の為に泣いてくれて。」


「…湊ったら…。何でそんなに優しいの…?」


「誰にでもって訳じゃねぇよ。知花だからだよ」


「…湊…」


「ん?」


「…いっぱいありがとう…」


「やっと笑った。」


「!!///////」


「知花は笑ってるほうがいいよ。」


「ありがと…。」



この人を傷つけたくないと思った。


こんなに私を好きでいてくれる人…初めてだ。



こんなに優しい人…初めてだ。



この優しい人を傷つけたくない。



この優しい笑顔を壊したくない。



大事にしたいと思った。



だけど…湊の笑顔を見るたびに切なくなる。



胸が痛くなる。



胸キュンなんてしてないのに…不思議…。



だけど胸が痛いなんて湊に言ったら凄い心配すると思うから…。



大丈夫だよね…?



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