恋のレシピの作り方
(……部下としてに決まってるじゃない、何考えてるの私)

 奈央は己の愚考をかき消すように首を振った。けれど、一条に撫でられた部分がいつまでもその感触を覚えていた。


「それと、お前……俺の前でブルームーンなんて飲むなよ」

「え……?」

 一条が目も合わせずボソリと呟くように言うと、奈央はふっと顔を上げて一条に向けた。

「―――なんでもない」

 アルコールのせいか、その時ほんのり一条の頬が赤らんで見えた。
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