恋のレシピの作り方
 その時、頬に雫が落ちてきた。

 ポツリが徐々にポツポツになり、勢いづいて雨が降り出した。


 奈央は、そっと桐野の腕から離れると、大丈夫だと無理矢理笑顔を作ってみせた。


「奈央……!」


「!?」


 離れていく奈央の腕を、桐野は名残惜しそうにして掴む。


「………」


「………」


 二人の間に流れる沈黙が息苦しい。

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