恋のレシピの作り方
第二十三章 羽村の願い
 「あの、羽村さん、ここって……」


 奈央はこの状況に、戸惑いを隠せずにいた―――。

 

「ここはフレンチレストラン、ヴェルテです。あなたもご存知でしょう? この店に来たのは久しぶりですが、あなたは?」


「は、初めてです……」

 雑誌で何度も見たことはあったが、実際来るのは初めてだった。

 奈央は店の前で呆然としてその優雅な外観を眺めた。羽村に促されて店内に入ると、王宮のダイニングのような内装が目の前に広がり、白い大理石の床に自分の姿が映っていた。


「すごい……」

 そして煌びやかなシャンデリアは、星をかき集めて飾ったように店内を上品に照らしていた。
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