恋のレシピの作り方
「あ、あった!」

 奈央がストックの入れ物を取り出した時に、うっすら白い固形状のものが表面に所々ついていたが、野菜の灰汁が固まったものだと思い、奈央はそのまま調理を続けた。


「春日さん、進み具合どうですか? もう隣りの厨房は戦場を通り越して地獄絵図です」

 ガラスの窓越しに窺える隣りは羽村の言うとおり、シェフが忙しく行き交い、プライパンが飛び、皿が飛んでいた―――。
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