私のナイトはやくざ
その時･･･後ろから急に声がした。


「やめろ。彼女いやがっているじゃないか･･･」

なんとも、低い声で負のオーラをまとっているような怖い声が聞こえてきた。


そして、その男はあっという間に酔っ払いから私を救い出してくれた。


「怪我はない？」

私に問いかけるその声は先ほどまでと打って変わってやさしい声だった。


『ありがとうございます。助かりました。』

私は頭を下げると･･･


「いいえ。どういたしまして。」

そう言いながら、私の頭をやさしくなでた。


大きな手が私を包み込む様な、そんな感覚に陥っていた。

私は、先ほどの酔っ払いに絡まれた時も涙は出なかったのに、
助けてくれた人が私の頭をなでた時、思わず涙をこぼしてしまった。


「きれいな目をしている」

「・・・何か困ったことがあったら電話して･･･」


そう言って一枚の名刺を私の手に握らせると、何も言わず、立ち去ってしまった。
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