ラブ・ストーリー~可愛くない女~
「時々見掛ける女性は、いつもBARのカウンターの同じ席に座ってて。すごくキレイな人なのに、どうして悲しそうな瞳をしているんだろうって‥僕は目が離せなくなりました。」


正直先生の瞳が優しく私を見つめる。


「夜景と時計を交互に見てるから、きっと彼氏と待ち合わせでもしてるんだろうって思ったんです。でも‥。」


躊躇しながら、正直先生が続けた。


「そこに現れたのは、薬指に指輪をした既婚者でした。」


そう‥私はいつもあのBARで慎也を待ってた。


必ず遅れてくる彼を待っている時間が‥大嫌いだった。
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