血塗れの蝶
「……お。」

ん?なんか聞こえる…。

「…み!…みぉ。」

んん?あたしの名前?
……起きなきゃ。




「美王!!」

ガバッ

『…ふぇ?』

ここどこだ?

「寝ぼけてる?」

『ほほ、そこ?…にゃだねきゃい。』

(ここ、どこ?まだねたい。)

そう言って父さんに凭れ掛かる。

「まだ寝たいって、もう7時だよ?
 約束忘れた?」

約束…?

あたしは、まだ働ききってないあたしの頭の中で
その、約束というものを思い出した。

『7時、学校、行く、支度、
 スタート。』

途切れ途切れにそう言うと、父さんは
大きく頷いてニコッと笑った。

「そう。あとで大広間にきてな?」

『あい!』

まだ少しボーとするが、早くしないと
学校に間に合わない。


支度を整え、大広間へ行くと、新聞を
読んでいる父さんと、佐々倉さんと
(通称:さっくん)大山さんが
(通称:おおくん)いた。

「おお、やっと来たか。飯に
 するぞ?」

『ん。…父さん、また新聞逆さま。』

「…気のせいだ!さぁ食べるぞ?」

誤魔化したよ?この人、自分の
やったこと、気のせいで
片付けちゃったよ…?





ーーーーーーーーーーーーー。

『いってきます。』

「いってらしゃいませ!お穣!!」

ニコッとさっくんは、手を振る。

「気を付けて、最近、SUTARI達が
 うろついているので。」

『そんな奴等にあたしが
 負けるとでも?』

「いえ。あんな小さい族に
 負けてしまいましたら、総長も
 なにもございませんよ?
 ですが、油断大敵ですよ?」

そう言いながら、鞄を渡すおおくん。

『油断大敵…ね?そうだね。この前、
 どっかの誰かさんが、銃向けられて
 怯えた人が2人も
 いるんだから、あたしも気を付け
 なくちゃ!!』

あたしはそう言いながら、その2人を
見ると「「ぐッ・・・!!」」と、
顔を強張らしていた。

『行ってくる。』

「「行ってらしゃいませ!!」」










キーンコーンカーンコーン‐‐‐‐。

あちゃ~!あと少しだったのになー?

そう思いながら扉の前に立つ。

この扉を開けれれば、あたしは
仮面を付けるのだ。

ガラッ

シ‐‐‐‐‐‐‐ン

さっきまで騒がしかった教室は、
あたしが入って来たことで
静まり返る。

ツカツカッと自分の机の
ところまで来ると、

「どうぞ……。」

怯えたような目であたしを見て
椅子を引いた。

『…お前、名前は?』

「あさ、ひ……まも、る。」

『朝日 守?ふぅ~ん。』

あたしは、少しだけ口元を上げた。

『守、いつもご苦労…。』

そう言って守の頭を
ポンポンッと叩いた。
そして、時計に視線を逸らすと
8時18分と
そこには指してあった。





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