プライマリーキス 番外編&溺愛シリーズ
「ありがとう。美羽」

 ミシェルが美羽を抱きしめ、両頬にそれぞれキスをする。美羽も同じように返した。

「すみません。支社長のところにお世話になっているなんて……僕にはヒミツだったようで」

 ミシェルの恋人、ブライアン・マクラーレンが参った、という風に頭を掻いた。

 僕は彼を見つめながら、久美と森重の二人のように、彼は“尻に敷かれている”タイプに違いないと思った。

 人の事は言えない……か。

「いや。部下の幸せを願うことも、大切な一部だからね」

 格好つけた風に言うつもりはなかったが、美羽が「よく言う」というような瞳を向けるので、知らんふりをした。

「それでね……お世話になったから、ハッピーなニュースを教えるわ」

「ミシェル、君が言いたくてたまらないんだろう」

 見ていられないほどの幸せぶりと、彼女の仕草に、僕はいち早く気づいた。

 彼女は……。

「ハッピーなニュースって?」

 美羽は興味津々で二人を交互に見つめた。

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