プライマリーキス 番外編&溺愛シリーズ
 それで――。

 あまりにも僕たちがこんな状況だったからか、翌月、美羽が想像妊娠をしてしまって、ひと騒動あったわけだが……。

「なんだか気疲れしちゃった」

 クリニックの帰り、美羽は言ってがっかりと肩を落とした。

「予行練習になったと思っておくよ」

 いつか、もう少し先でいい……。

 やっと、ウィルがいなくなったのだから。
 まだ、独り占めさせておいてくれないか。

 ……大人げのないわがままかもしれないけど。

 君が、「欲しい」と僕を求める顔が見たいから。

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