プライマリーキス 番外編&溺愛シリーズ
「ゴメンナサイ。図々しいお願いですよね」

「それにはもう少し君のことを知る必要があるかな。森重室長にも話してあるんだけど、今度の接待では別の秘書にお願いしたいと思っていたんだ。君は優秀だって聞いているから。一日借りてはダメかな? 以前はそうしてくれていたんだろう?」

「ええ……ピンチヒッターで、そういうことも。ただ、社長のスケジュールもありますから」

 私はやんわりと断っているつもりなのだけれど、市ヶ谷副社長はさらりとかわしてくる。

「邪魔にならないようにするよ」

「副社長、申し訳ありませんが、美羽は僕専属ですから。彼女は頼まれるとなかなかノーとは言えない」

 ぐいっと潤哉さんに肩を抱き寄せられ私は困惑する。すると、くくくっと喉を震わせるように、市ヶ谷副社長に笑われてしまった。

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