プライマリーキス 番外編&溺愛シリーズ
「じゃあ、詳しくはまた」

 にこやかに市ヶ谷副社長は去っていくけど……この後のこと考えてから発言して欲しい。

 ドアが閉まった後で、潤哉さんは後ろから私をギュッと抱きしめて、耳の側に唇を近づけた。

「美羽」
「……ご、ごめんなさい。余計なこと」

「色仕掛けには気をつけて。さっきのスキのあるような顔をしないことだよ」

「私は……潤哉さんのことしか好きじゃないです」
「分かってても不安にさせる。君は自分の魅力にもう少し気づいてくれないと」

 嫉妬混じりの声と、唇の愛撫はエスカレートしていく。私は熱くなっていく身体にセーブをかけて、潤哉さんの腕を掴んだ。

「私も挨拶をしてきます。森重室長に」

 森重室長といえば、この後、呼ばれているのだった。久しぶりなので久美ちゃんの様子も少し聞いてみたいし。

「もう少し待ってからにして」

「でも、会議まで時間が。準備は総務に頼んでありますけど……今日の議事録、三人体制ですから他の秘書と打ち合わせしたいんです」

「あと5分だけ……彼が完全にフェードアウトしてからね」

 ……ああ、そういうことか、と私は潤哉さんを見上げた。するとチュッと唇がくっつき合う。

「僕もそろそろ本腰を入れないとね。君との今後のことも考えておかないと」

 潤哉さんの意味深な目元にドキンとする。

 帰国したら、毎晩、君を抱くから――。

 飛行機の中で宣言していた通り、彼は毎晩、私を求めた。

 今夜もきっと――。

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