天使の舞―前編―【完】
ずっとひれ伏したままだったシラサギが、遠慮がちに顔をあげた。


アマネを目で追う。


「アマネ様。
やはり、私には分不相応なお話なのです。
メイドとしてお側にお仕えできるだけで、私は本望です。」


「何を言うんだ、もう乃莉子をキャスから奪う道理がない。
俺が妃にしたいのは、シラサギ、お前ただ一人だ。
父上、異論は?」


もはや、投げやりとも見えるアカツキの態度は、威厳さえ半減したように見えた。


「好きにするがいい。」


アカツキは、無気力に答える。


そんな項垂れたアカツキに、優しい音色の声がかかった。


「アカツキ様。」


聞き覚えのある声に驚いて、アカツキは顔をあげて確認した。

隣にいたアマネも目を見張る。


「ミヤビ?
何故、ここへ・・・。」


アカツキの口から、力なく言葉が流れた。


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