天使の舞―前編―【完】
シンシアは、何かが吹っ切れたような想いを瞳に乗せて、広間全体をぼんやりと眺めていた。


ふと、アマネが自分を見ている視線を感じて、我に返る。


「アマネ。
もう、心を偽る事はないわ。
あなたはあなたの道を、お進みなさい。
私達のしがらみに巻き込んでしまって、ごめんなさいね。
幸せになるのよ。」


「・・・。」


「さぁアマネ、あなた達も魔界へ、お戻りなさい。」


「・・・。」


たくさんの思いが詰まった表情で、シンシアを見つめていたアマネは、何も言わずに一礼すると、シラサギを連れて天魔の鏡へと歩いて行った。


二人の後ろ姿を見送って、ホッとしたように、シンシアはキャスパトレイユと乃莉子に視線を移した。


「ところで、キャスパトレイユ。
今は何という名前なのかしら?
したのでしょう?
名前の契約。」


「あっ!」


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