天使の舞―前編―【完】
半分羽ばたきながら、キャスパトレイユは中庭へと到着した。


白く丸い、こじんまりとしたテーブルの上には、繊細な造りのティーセットが置かれ、パラソルに柔らかな陽射しを遮ってもらいながら、シンシアは華奢な椅子に腰かけていた。


そして、少し離れた場所に数人のメイドが控えているのだが、シンシアの隣には、たくましい後ろ姿の天使が一人、片膝を付いてしゃがんでいた。


「母さん!シュカも!
二人で何の相談だよ!
また良からぬ事でも、話してるんだろ?」


シンシアは聞こえてきた息子の声に、ゆっくりと振り向いた。


「相談というか、報告をね。
わざわざシュカが、教えに来てくれたから。
それを聞いていたの。
キャスパトレイユにも、教えてあげないといけないわね。」


「後で聞くよ。
それより母さん!
さっきのあれ、何だよ!
乃莉子の前で、あんなこと言う必要ないだろ!」


「そう?そうかしら?
前置きなく、ビックリした方が良かったのかしら?」


シンシアは、コロコロと可笑しそうに笑った。


< 227 / 230 >

この作品をシェア

pagetop