天使の舞―前編―【完】
本屋を運営する者達が、いがみ合いながら、同じ時間を過ごす。


そんなのは、折角足を運んでくれたお客様にも、大好きな本達にも失礼になってしまうではないか。


そう思うと乃莉子は、無理矢理に笑顔を作った。


本来なら笑顔処か、怒りの表情を向けてやりたい相手だった。


上から目線の俺様天使と、押しつけがましいクールな悪魔だ。


そんな乃莉子の気持ちを知ってか知らずか、彼方がおもむろに言い放つ。


「早く決着をつけたい。
妃も見つけた事だ。
こんな所に居座る理由なんかない。
お店屋さんごっこはお終いだ。
俺は乃莉子を連れて、魔界に帰るぞ。」


「バカな事、言ってんじゃねぇよ。
乃莉子は俺が見つけた、俺の愛する、俺だけのヨメなんだよ!
お前は引っ込んでろ、この横取り野郎。
乃莉子は、お·れ·と、天界に行くんだからよ。」


悠はとうとう彼方の胸ぐらを、掴んでしまった。

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