ラッキービーンズ【番外編】
「だってさっき勝負するって……」

「言ったでしょ。恋は早いもの勝ちじゃ、ないんです」


酔ってるハズのリアちゃんに真っすぐに見つめられて、ドキリとした。


「メイさんが水嶋さんのことを好きでも、水嶋さんがメイさんのことを好きでも。結婚してるわけじゃないし、この先どうなるか分かんないじゃないですか~」

「……って、え? 水嶋が私のこと好きって、リアちゃんそこまで知ってたの!?」

「メイさん達がつきあってることですか?」

「う……。は、はい……」


じとっとした目で見られて、私は所在なく視線をさまよわせた。

やっぱりリアちゃんに言ってなかったのはまずかったよね。


私はただ、会社の人達にバレたくない一心だったのだけれど……。


「知らなかったですよ。さっきのは冗談です。知ってたらさすがに迫ったりしないですよ。友達の彼氏に」

「リアちゃん……」


『会社の同僚』じゃなくて『友達』と言ってくれたことにじーんとしてしまった。

つきあってること内緒にしてて、怒られても不思議じゃない場面のはずなのに。


「……もしかして水嶋に聞いた?」

「聞いてないですけど、メイさんとヤギーが消えたって分かったときの水嶋さんの慌てぶりで分かりました」


え?

水嶋が焦った? あの水嶋が?
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