ラッキービーンズ【番外編】
「リアちゃんのアレが演技だって見抜けないのなんて、メイぐらいだから」

「えっ!? 水嶋、気づいてたの!?」


ビックリした。

だって心配そうに介抱してたのに。


ていうか、それだったら寝室に運んであげたのは……!?


「なんで!?」


思わず大きな声を出して顔を上げてしまった。

至近距離で目があって、ふにっと鼻を摘まれる。


「んー、メイがヤギにあまりに親切だから、仕返し? みたいな?」

「し、仕返しって子どもじゃないんだから……!」


忘れてたよ、普段の水嶋があまりにも大人びてしっかりした人だから、忘れてた。

水嶋にはたまにとても子どもっぽい部分があって、それがいたずらっ子のように見え隠れするんだってことを。


「私、本気で心配したのに……!」

「リアちゃんを? リアちゃんに食われそうな俺を?」


水嶋が私を後ろから抱きしめてクスクスと笑う。

怒りたい気持ちもあるのに、やっぱり水嶋がリアちゃんの誘惑に惑わされなかったんだって知って、ホッとする気持ちの方が強い。


もしかしたら水嶋もそうなのかな。


「水嶋だって本気で怒ってたんじゃないの……?」


答える代わりにぎゅーって抱きしめられた。
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