渇望の鬼、欺く狐
#03 鬼と赤子
***



「まんま、まんま、」


「おや、腹が減ったかい?」



 旭が来て、およそ一ヶ月。

 雪に逐一買出しに行かせたお陰で、社の中には旭の着替えや、おしめに清拭用の絹の布など、色んな物が揃うようになっていた。

 まさか鬼である自分が、裁縫をしておしめを作る事になるとは、思ってもみなかったけれど。

 だけど気紛れで拾ったとは言え、一ヶ月も過ぎればそこそこに慣れてくるのだから不思議なものだ。

 ここに来た時よりも微かにだけ肉を付けた旭は、腹が減るとこうして強請るまでになった。



「飯を作ってきてあげるから。良い子で待ってるんだよ」



 でんでん太鼓を手渡せば、気に入っているのか、それをじっと眺めている。

 振ったところで、上手く音を鳴らせるわけではないけれど。

 時折か細く鳴る音にきゃっきゃと笑って、それはそれで満足しているらしかった。

 そんな旭に気付かれぬように、そっと抜けた室内。

 そのまま社の外に出れば、すぐに粥を作り始めた。

 雪に買って来させた釜の中に、洗った米と多めの水を入れる。

 後は大根や人参なんかを細かく刻んで、一緒に放り込んでやればいい。

 森に落ちている石を拾って積み立てて、即席で作ったかまどだけれど、これで中々役に立つ。

 火打石で火を付けて、飯が炊き上がるまでを待っていれば、突如耳には泣き声が届いた。

 
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