鬼の花嫁
「狐………っ」
「ほぉ…我の事を覚えておいでか」
今度は頭の中にではなく、
ちゃんと口に出して話しているよう。
物陰から、ふわりと姿を現し
嫌な笑みを口元に浮かべている。
「…………っ」
運悪く、
人通りの少ない場所……
護身用になんて
なにも持ち歩いていない。
(…あ……………)
視界に入る、
狐の腰にある二本の刀………
あの時の恐怖が、ぶわあっと
再び頭の中に蘇る。
刀、恐怖、痛み、血、傷
どうしよう…どうしよう……っ
怖い………!