踏み台の女神
「海かぁ……」


窓の外を眺めながら、神様が言った。


この位置からは、まだ海は見えない。


しかし神様は、見えない海を遥か遠くに見つめるように、笑みを含んだ目を細めた。


「海なんてもう、ずーっと見てないな。

でも海はいいよね。

眺めてるだけで癒される」


「でしょ?

神様も好きな場所だと思ってたよ」
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