思いが瞬を駆け抜けて~時代を越えた物語~

「はぁっ!ていっ!」


__ブンッ、ブンッ


「えい!やぁぁ!」


__ブンッ、ビュッ


私は朝から中庭で木刀を振る。

これは毎日の日課となっていた。

昨日も早く寝たことだし、元気いっぱいだ。


「おお……朝から鍛練とは感心だな。」


ふと、廊下から声を掛けられる。


「あっ、昌幸様!おはようございます!!」

「うむ。元気で何より。」


そう言って昌幸様は微笑む。

『頼んだぞ』

そう言っているようだった。


「はい!元気が一番です!」

私も微笑む。


今日が最初の宿命………。

私にしか出来ないこと。


そう心の中で決意を固める。


「そろそろ飯にしよう。」

「やった♪」


そう言われた瞬間にお腹の虫が鳴いた。


「ははは!腹が減っては戦は出来ぬぞ!」

「その通りです……」


私は恥ずかしさのあまり顔を伏せて小声で答える。

「片付けが済んだら大広間だ!」


ははは!愉快愉快!

と豪快に笑いながら昌幸様は大広間へ向かっていった。


私も木刀を部屋に置き、大広間へ急いだ。




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