思いが瞬を駆け抜けて~時代を越えた物語~

✳︎side真田家✳︎

「や、やっと着いた……!」


私達は陽の傾いた夕焼けの空を背に、砥石城へ戻って来た。


「真琴、お帰りなさい。」

「ただいまです。沙江さん〜!」


いつもの様にクールに出迎えてくれた沙江さん。

今回は別忍務があって別行動していたのだ。


安心感を求めて沙江さんにぎゅーっと抱きつく。

それを少し困った顔をしながら私の頭をポンポンとしてくれる沙江さんはやっぱり優しい!


「あら……?」


そんな最中、沙江さんが不思議そうな声をする。


「何かありましたか?」

「ふふっ……真琴、あなた」


そこまで言ってその言葉の続きは耳元で囁く。


「安土で幸村様と何かあったわね…?」

「え⁈」

「やっぱり、ね。」


ふっと笑う沙江さん。


し、忍ってそんな事までわかるものなの……?

恐ろしや……!


「真琴は隠すの下手なのよ。忍ならみんな表情で読み取れちゃうわよ?」

「そんなにわかりやすいでしょうか…」

「ええ、とても!……まぁ、真琴よりもっとひどい人はいるのだけど。」


そう言って見た視線の先には……幸村。

幸村は同じく出迎えに来た佐助さんに同じ事を突つかれているのか慌てている。



あ、本当だ。

私よりひどいかも……。


私は沙江さんと顔を見合わせて笑った。



「ま、真琴!沙江まで!何を笑ってるんだ⁈」

「秘密よね?」

「うん。」

「さ、真琴お疲れでしょ?中へ入りましょう?」

「はーい♪」


私達は相変わらず佐助さんに突つかれる幸村を置いて昌幸様とも一緒に城へ入る。


___ただいま、岩櫃城。


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