月夜の翡翠と貴方


「えっ……………」


ラサバの表情は、どうして、と言っている。

いずれにせよ、ラサバはこれを頼む気でいたのだろうが、まさかルトが進んで言うとは思っていなかったのだろう。

「ここまでおっさんたちに関わって、事情聞いといてさ。結果を見届けないのは、こっちの気が済まねえよ」

ルトの言葉に、一瞬驚いた顔をしたあと、ラサバは気の抜けた笑みを零した。


「ありがとうございます…」


ルトと顔を見合わせ、微笑んだ。

私も、ルトと同じ気持ちだ。

ふたりがどうなるか見届けることで、昨日からのこの胸のもやもやも、何らかの形で解消されるかもしれない。


「私たちに出来ることがあったら、言って下さい」


私がそう言うと、ラサバは眉を寄せて涙ぐみ始める。

「本当に、ありがとうございます。何から何まで………」

「いいんだって。それより今は、説得だろ?」

ルトが笑いかけると、ラサバはぐいっと袖で涙をぬぐった。

そして、「では」と言うと、説得について話し始めた。

その後三人で話し合いをし、最後にスジュナに話をした。


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