月夜の翡翠と貴方


ルトの言葉が、もっと聞きたい。


「えーと…だからさ、今のお前の話を聞いても、俺がお前に対する気持ちとか、態度とか、変わんないから。誤解するなよ」


「………………うん」

涙が出そう。

嬉しくて、愛しくて。

涙が出そうだ。

そんな私を見て、少しだけ困ったような顔をする、ルト。


「ありがとう……」


今度は素直に、口元に笑みが浮かぶ。

ルトは私から目を逸らすと、もう一度頭を撫でた。


「…寝るぞ」

わずかに照れたような声が、また私の口角を上げる。


面倒な奴隷で、ごめんなさい。

ルトが私を手放すときは、精一杯『惨め』になるから。


聞いてくれて、ありがとう。


隣で眠るルトは、一晩中手をつないでくれていた。






「今日は、ロディー様が邸へいらっしゃいます。くれぐれも、逃げ出すなんて事のないように」


ノワードが、そうセルシアに釘を刺す。


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