月夜の翡翠と貴方


そろそろ、奴隷屋まわりも疲れてきた。

出来ればこれで、最後の店にしたいのだが。

少し歩くと、井戸が見えた。


そこにいたのは、灰色の服を身に纏い、フードを目深に被った少女だった。








「そこのおじょーさん」


声のしたほうを見ると、ひとりの青年が立っていた。


少女と、同じぐらいの年だろうか。

端正な顔立ちをした彼の目は、どうやら自分に向けられているようだと気づき、少女は眉を寄せる。


「………なんでしょうか」


井戸から汲んだバケツを地面に置き、青年へ向き直る。

彼は、明るい笑みを浮かべていた。


「ね、君もあの奴隷屋の子だよね?」


そう言って青年が指差すのは、少女が奴隷として日々を過ごすテント。


「……そうですが」



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