クランベールの甘い日々 〜クランベールに行ってきます 番外編集〜
 なにしろこれまでも、結衣の入れ知恵で、両親が「カレシがいるらしい」と言っても、体のいい断り文句だと思われて、信用してもらえなかったのだ。

 結婚の話を伝えると「本当にカレシがいたのか」と驚かれたらしい。

 親戚たちに、ロイドはクランベール人だと正直に伝えてあるという。
 ただ、クランベールがどこにあるのかは話していない。ヨーロッパ辺りだと適当に言ってあるらしい。

 ヘタにアメリカ人だのイギリス人だのと嘘をついたら、ロイドが話しかけられた時にボロが出る。

 親戚たちが世界中の国の名前を、全部把握しているはずがない。
 結衣だって、地球温暖化で問題になるまで、ツバルという国がある事を知らなかった。

 親戚たちにとってロイドは「どこか外国の人」でいいのだ。

 親戚とはいえ、結衣が直接付き合う事は、これまでもなかった。
 ましてや立川の家を出て、外国に行ってしまう結衣が、親密に付き合う事はこれからもないだろう。

 ロイド側の出席者は、ひとりもいない。
< 165 / 230 >

この作品をシェア

pagetop