クランベールの甘い日々 〜クランベールに行ってきます 番外編集〜
 妙な儀式は、新婚初夜に終わったものだと思っていた。
 笑顔を引きつらせる結衣に、ロイドは大真面目で言う。


「新妻が夫を出迎える時の決まり文句があるんじゃないか?」
「……え……」


 一ヶ月前に、笑いをかみ殺していた蒼太の顔が脳裏に浮かぶ。
 それと同時に何の事だかピンと来た。


「……それ、儀式でもなんでもないから。どっちかっていうと、男のロマンの類よ」
「まぁ、そうかもしれないな」


 結衣の言葉に、ロイドは納得したように頷く。
 けれど、目には好奇の色を湛えたまま、結衣に尋ねた。


「で、やらないのか?」


 儀式だからというより、単に見てみたいだけのようだ。
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