クランベールの甘い日々 〜クランベールに行ってきます 番外編集〜
 ロイドは結衣の手を離し、入口前の石でできた階段を上がる。
 ズボンのポケットから取り出した鍵を差し込んで動きを止めた。

「ん?」と声を漏らし、鍵を引き抜き取っ手を回した。


「開いてる。あいつが帰ってるのか?」


 独り言のようにつぶやいた後、ロイドは結衣を振り返り、扉を開けて中に招き入れた。

 家に入り、昼間にも拘わらず薄暗い室内に目が慣れてくると、結衣は思わず目が点になった。
 まさに廃屋のようだ。

 入口を入ってすぐの玄関ホールは、人が奥に進めるだけの幅を残して、他はロイド言うところのガラクタ、石版や土器が無造作に並んでいる。

 右手に二階への階段があるが、完全に通路が塞がれていた。

 それを見てロイドが、舌打ちしながらボソリとつぶやく。


「オレはもう帰ってくるなって事か?」

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