クランベールの甘い日々 〜クランベールに行ってきます 番外編集〜
”セールス”ポイントという事は、セクサロイドは民間の企業が作っているという事だろう。

 だが、こういう精巧なロボットを、ロイドは作ろうと思わないのだろうか。
 それが不思議に思えて訊いてみると、ロイドは不愉快そうに顔をしかめた。


「セクサロイドが何のためのロボットか分かってるだろう。我が子にそんな事をさせたい親がどこにいる」

「そんな目的のロボットじゃなくて、こんな風に人間そっくりなロボットよ。あなたなら、もっと高性能で人間とそっくり同じようなロボットを作りたいと思うんじゃないの?」


 ロイドは相変わらず不愉快そうな表情のまま、顔を背けた。


「そいつらは、見てくれは人間そっくりだが、人間とは決定的に違う。感情がないからだ。こちらのアクションに対して、いくら表情豊かに反応を返しても、それは内蔵プログラムと人工知能が、計算によって導き出した結果でしかない。オレはヒューマノイド・ロボットは作らない。おもしろくないからな」


 限りなく人間に近いロボットは、結衣にしてみればおもしろいのだが、ロイドのおもしろいは結衣とは基準が違うようだ。
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