ナル男と私
モデル!?

目を見開き横に座るナル男と、父さんの顔を交互に見やる。私の驚愕が伝わったのか父さんがゆっくりと頷いた。

「二人も知っての通り、僕は人を撮りません」

そうだ、父はカメラマンだが人を題材にしたものを私は見た事がない。母さんも同じ思いだったらしく父さんの言葉にジッと耳を傾けている。

「けど彼をファインダーごしに覗いた瞬間全てが変わった、彼を撮らずにいれるカメラマンなどいない…そう思えるほど彼はモデルとして素晴らしい素質をもっていました」

ハッキリと告げた父さんの顔は、初めて見るカメラマンの目をしていた。

「実里君はアメリカに住む日系でモデルとして一人来日するのをご両親が嫌がられ、ならばと僕のうちで面倒を見る事で契約を交わしました」
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