first kiss
野ばらが待つ病室へ、足どりも重く向かった。
静かにドアを開けると
上半身起こした野ばらが気まずそうに
笑いかけた。
今は元気そうだ。
「ごめんね…。あたし疲れてたのかな?びっくりさせちゃったね。
悠成も赤ちゃんも」
緩く頭を振る。
「ごめんね、赤ちゃん」
「……っ」
お腹をさすって謝る野ばらに、僕はたまらなくなった。
体に負担がかからないように抱きしめる。
「!…どうしたの?」
野ばらは戸惑ってる。
僕は声を振り絞って言った。
「赤ちゃんは、諦めよう」