イノセント・ラヴァー *もう一度、キミと*
まるで時の流れがまったく違ってしまったような空間で。

ふと周囲のせせらぎの音が何も聞こえなくなり……

大きなきらめく目と、あたしの色の薄い目がぴたっと合った。




――と、そのとき。



「それを使っちゃダメだ!」


不意に。

空気を切り裂くような鋭い声がして、あたしははっと我に返った。


(――え?)


天使くんが驚いて振り向くと。

天使くんの背後からこっちに向かって走ってくる、もう一人の姿が見えた。


日に焼けた顔に必死の表情を浮かべた、全身黒ずくめの男の子。

しなやかな体の動きが、黒い服も手伝って、まるで忍者みたい。


「それを――」


ドンッ

天使くんが見えてないかのように、容赦なく脇へ押しやってあたしに駆け寄って来る。
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