イノセント・ラヴァー *もう一度、キミと*
しかし。

返せ、と言ったくせに、忍者くんはあたしの手首からリストバンドを外すのをためらった。

指をかけたまま、形の良い唇を噛んで、眉を少し寄せて。

大きな黒い瞳が悩ましげにさまよう。


(――?)


どうしたの?


少しうつむいた、整った顔をぼんやり眺めながら。


……ふと気づいた。


(――使う?)


これって、何かに使うの?

どうやって?


(――後悔?)


後悔するって?

あたしが?

何を?
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