イノセント・ラヴァー *もう一度、キミと*
「どうしたの、何かあったの?」

お母さんが驚いてキッチンから出てくる。

「何でもない」

あたしは手首でこっそり涙を拭いた。



……そういえば。

最初に過去に飛んだとき、あたしはお母さんに電話をかけて、美咲姉ちゃんを病院に連れていくように頼んだっけ。

それはどうなったの?

その前のタイムラインが書き換えられてしまったから、消えてなくなっちゃった……そういうことなのかな。


(考えてもわかんないや……)


ろくに食事も喉を通らないままに、あたしはよろよろと2階に上がった。


長い長い一日だった。

今日はくたくた。もう休もう。

そして、明日もう一度考えよう。

――慎重に。

碧人の健康な体と、美咲姉ちゃんを取り戻すために。

この、閉じられた過去、今、未来を、何とか突破する道を。



できることなら……
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