六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
胸が、ちくちくと痛みだす。
そんな占いで、産まれたばかりの子を他人に預けるなんて。
あまりにも、無責任じゃない。
お父さんは眉を下げて、また話しだす。
「それは……お前の母君が、自分の死期まで予言したからだ」
「え……っ」
「お前が17歳になる少し前に、自分が死んでしまう事を知っていた。
だからお前を守りきれないと思って、
大昔から縁のあった安城一門の中でも、
田舎の目立たないところにいる我が家に預けられたんだ」
「そんな……じゃあ、お母さんは亡くなっているの……?」
「……つい最近な。
いつ話そうかと思っていたんだが……」
胸が、ギュッと潰れそうになる。
実のお母さんは、もういない……。
顔も見た事がない人だけど、亡くなったと聞くと、やはり苦しかった。