六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】


『まりあ、そう、その人よ。

今心に浮かんだ彼と、その力を封印するの』


「力を、封印?」


『そう。

方法は、蔵の地下の書庫を調べて』


蔵。 

清良がさらわれる前に、

アキちゃんが案内してくれた、あの蔵……


『ああ、もう本当に時間がない……。


まりあ、忘れないで。


もし力が封印できなくても、

予言の通り、困難が貴女を追いつめても……。


諦めないで。

最後まで、あがいて。

貴女は代々の夢見姫ができなかった事が、できるはずだから……』


お母さんの声が小さくなっていく。


それと同時に、その姿が透き通り、淡い光になっていく。


「お母さん!」


『まりあ、どうか幸せに……』


「お母さん!お母さん!」



あたしは光の粒になっていくお母さんを、両腕で必死に繋ぎとめようとした。


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